富士山5合目でアマチュア無線局運用
木原 満司(1961年度通信卒・JA1CTX)
運用の場所から西方向の富士山を望む
バカと煙は高い所へ昇ると言われるが、アマチュア無線家(HAM)も同じで、高いところに
アンテナを設置し、電波を出すことが好きだ。高いところから発射された電波は遠くまで届
くことは、テレビ送信アンテナが東京タワーから2倍の高さのスカイツリーに替わったことを
見てもお分かりの通りである。
学生時代にHAMの免許を取り、局を開設し今年で54年になる。
私の趣味の中で一番永続きしている。現役時代はあまり熱心でなかったこの趣味も定年
退職し、毎日サンデーの身になり再び熱を帯びる。住まいはマンションでアンテナ設置にも
制限があり、多くの局と交信するために少しでも高いところや、近隣に電波の通り道を妨害
するものがないところへ出かけてCQCQとやる。
そんなわけで今回は車で行ける海抜の高い場所として富士山・須走5合目登山口
(静岡県駿東郡小山町 海抜2000m)まで出かけ無線交信を楽しむ。
その様子と結果を報告する。
2014年5月18日 天気快晴。午前8時の気温8°C 運用時間 8:00〜14:30
設備 八重洲・FT―817 2,5w出力 Ant DAIAMOND・V-2000 GP(50、144、430MHz共用)
交信局数 112局(内訳 50MHz 19局 144MHz 26局 430MHz 67局)
主な遠距離通信
茨城県大子町 211Km(430MHz)
栃木県那須烏山市 189Km(430MHz)
茨城県水戸市 189Km(144MHz)
東京都大島支庁神津島村 134Km(144MHz)
千葉県東金市 145Km(50MHz)
埼玉県川口市 99Km(50MHz)
通信できた方角(北を0°として表示)
最も北寄り地点・埼玉県羽生市37°
最も西寄り地点・静岡市清水区213°
ほとんどが40°〜180°の範囲に在る局との交信
電波発射位置が富士山の東側で、北・南方向も裾野が少し邪魔をし、
西方向は富士山を背負うような位置関係になり、最も都合が悪い方角となる
南西、西、北、北東が都合の悪い方角になるが、その方角はHAM人口 の
少ない地域でもある。山の中腹では360°見渡せる場所はないが、富士山は
単独峰で、電波を遮るものが少ない格好の山である。
今回の持参設備は出力2,5Wの無線機で、通常自宅で使用しているものの
8分の1の出力しかない。アンテナも無指向性の八方美人タイプである。
2,5wの反射鏡や前面レンズの付いていない裸電球を海抜2000mの
ところで灯しているようなものだ。
こちらは弱小電波だが、相手局が指向性の鋭いAntをこちらに向けてくれれば、それに
助けられて交信できるケールは多々ある。概して関東一円のアマチュア無線局は富士山
の反射を利用するため、Antのビームを富士山に向けている場合が多く、その意味で
も当地は移動運用地としての価値は高い。